GIDアーカイヴ。SRS(性別適合手術)のこと。

◇知らない人からのラヴレター。◇

私の手術のことがマスコミで報道された次の日のことだったと思います。ある先生が私の病室に、少し膨らんだ一通の封筒を持って来ました。

「○月○日に○○病院で性転換手術を受けられた方へ」

その封筒の表には、そんな風に書かれていたと思います。しかも、鉛筆書きで。

「先生、、、これって?」

ハテナマークの飛びかう私に、先生は説明してくれました。

その封筒は病院の受け付けカウンターの隅っこに、いつのまにか置かれていたそうで、万が一、不審物だと困るので、一応、病院側で一度開封したとのこと。そして、宛名代わりに書かれていた内容から、私に渡されたのでした。

とは言われても、、、誰?もしかして、マスコミに出た人がよくもらうっていう誹謗中傷の手紙とか?

誰かから手紙をもらうなんて慣れないことに動揺するのと同時に、やはり新聞同様に「性転換」と書かれていることに戸惑いながらも、私はその封筒の中身を拝見することにしました。

中身は二枚の便箋に書かれた手紙と、一本のカセットテープ。とりあえず手紙を読ませて頂くと、どうやら、それはその病院と同じ街に住む一人の男性(?)からでした。

そしてそこには、自分の住む街で性転換手術が行われたことを知って驚いたこと。実は自分も以前から性別違和を感じていたが、行動を起こす勇気がなかったこと。そして、もし良ければ、あなたとお会いしたい、さらには一緒に暮らしていくことも考えていることなどが書かれていました。

手紙の最後には、きちんとご自身の名前、住所、電話番号もありました。

その内容に誠実さを感じながら読み終わったものの、やはり私はいくらかの違和感を感じずにはいられませんでした。

一度も会ったこともなく、もちろん顔も見たことない人間に向かって、新聞に書かれていることだけしか知らないのに、一緒に住みましょうって?お金のことも大変だろうと気遣って頂いていることも書いてありましたが、一応、私にもパートナーがいることを想像すらしなかったのかな?(確かにその後、お金には非常に困るのですが。)

愛情?同情?好奇心?厚意?一体、どれにあてはまるのでしょう?もちろん、その方に悪気はないのでしょうけど。

私はその手紙そのものをどうしたものかとかなり悩みましたが、あて先が私だとわかっている以上、病院側としても処分はできないと言われてしまったので、とりあえず、退院までテープと一緒に大切にしまっておくことにしました。

とは言え、それは全国ニュースで報道された直後、なにやら怪しげな人も病院内をうろうろするようになったので、私は、申し分けないですが、やはりその方に連絡などをすることはご遠慮しました。

ちなみに同封されていたカセットテープには、ご自身がお好きだと言う松山千春さんの歌が入っていて、私は退院後、お気持ちを受け取るためにきちんと聴かせて頂きました。

この場を借りて、ご報告を。

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