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GIDアーカイヴ。雑感・雑記。

◇看護師さんの旅立ち。◇

先日、お世話になっていた一人の看護師さんとお別れになりました。彼女は私がずっとホルモン注射をしてもらっている病院を辞めて、このたび、めでたく転職するとのことでした。

実はこの看護師さん、今でこそ私に良くしてくれていましたが、その病院に着任(?)した頃は、「えんじぇるのことが嫌いオーラ」を出しまくりで、どうやら彼女は女性ホルモンの投与をしていること自体に納得ができないようでした。

反対に、その病院にそれまでいた担当の看護師さんは、普通に、本当に普通に私のことを「女性扱い」してくれていたので、そのあまりの落差に私は戸惑ってしまいました。

やがて看護師さんが彼女に変わってからというもの、私はあまり余計なことを言わないようにと、その病院の中では何だかびくびくするようになりました。

さて、数年前のある日のこと、診察室で先生と世間話をしている時でした。その時はその看護師さんが近くにいなかったので、私は珍しく明るい調子で、「気持ちは女の子ですから」とか何とか言った時だと思います。

どうやらそれがその看護師さんには気に障ったらしく。

「あなたは男よ、オ・ト・コ。」

たまたま近くを通り過ぎる時に、彼女はさらっとそんな言葉を私にぶつけました。それも明らかに鼻で笑うような感じで。

一瞬、私はかなづちで殴られたような感じがしました。一気に現実を思い知らされたような。もちろん、彼女のそれまでの態度で私を嫌いなんだろうなとはわかっていましたが、さすがにそうはっきり言われるのは正直堪えました。

まして、それは高校の時にPTAだかのおばさんにもぶつけられたのと同じセリフ。自分自身、十分過ぎるほどわかってるから、人から改めて言われるのは、私には本当に辛くて嫌なことでした。

私は思わず泣きそうになるのを必死で我慢して診察室を出ましたが、待合室のソファに座った途端、やっぱり涙がこぼれてしまいました。それは止まらなくなりました。

そんなことは言われなくてもわかってます。自分が男だってことなんて。でも、少なくとも気持ちは違うもの。そもそも、「身体は男の身体だ」と嫌だけどきちんと認めてるから、この病院に女性ホルモンの投与に来ているんだもん。

昔からとっさに何かを言い返したりできない私は、その自分の勇気の無さでまた悲しくなってしまって、悲しい気持ちと悔しい気持ちで頭がいっぱいになってしまいました。どうやっても涙は止まってくれませんでした。

しばらくすると、向かいに座っている患者さんが私の様子に気が付いて、その人から受付のおねいさん、そして当の看護師さんに伝わって、彼女が待合室の私の所に来ました。

「ごめんね、ごめん」

彼女はそう言って謝ってくれましたが、それまでの言動からして、私にはあまり説得力が感じられませんでした。その時も、やはりなんとなく「なぜ泣くのかわからない」って感じでしたから。

もちろん、やはりみっともないし、泣き止まないといけないと私もさらに焦ったのですが、私の頭の中では彼女のさっきのセリフが消えませんでした。

「自分が男だって、わかってるから。。。」

私は震える声で必死にそれだけ言いました。私が彼女に言い返せたのはそれだけです。病院やその看護師さんにも迷惑をかけていることはわかっていましたが、その時は自分でももうどうしようもありませんでした。

そして、先生の配慮だと思うのですが、私はその看護師さんに婦人科のカーテンの向こうに連れていかれました。まあ、病院としても待合室で泣かれ続けては困るでしょうし。私はそこで彼女に差し出されたハンカチで涙を拭きました。

「ごめんね、気持ちは本当に女の子なのよね」

彼女はそっと私の肩に手をかけて、そう言ってくれました。何だか自分自身にも言い聞かせているようでしたが。

それからその看護師さんは極めて普通に私に接してくれるようになり、私も彼女に対してびくびくせずに済むようになりました。

そしてそれから数年、私は彼女の手でホルモン注射をしてもらっていたのですが、先日、突然「私、ここは今週いっぱいなの」と知らされました。以前から老人介護の仕事の方に興味があって、めでたくどこかの老人ホームに転職が決まったのだそうです。

最後に私は彼女と笑って握手をしました。

あんなことがあったからこそなのかも知れませんが、ずっと見知った顔の看護師さんがいなくなるのは、やはり少し寂しくなりました。

でも、仕事熱心で真面目な看護師さんですから、今ごろ、きっと老人ホームでもとてもがんばっていらっしゃると思います(^-^)。

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