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GIDアーカイヴ。OLモドキ時代のこと。

◇OLとしてお仕事開始。◇

オフィス内の人全員への挨拶が済むと、私は直近の同僚となる、TさんとCさんを紹介されました。2人とも女性で、Tさんは50代くらい、Cさんは40代半ばくらい。聞くところによると、その職場ではCさんの方がベテランだそうですが、2人は以前、別の会社でも同僚だったそうです。

私はその話を聞いて、なるほど、この会社はコネで入る人が多いんだなと実感しました。

そのオフィスには六つのデスクが三つずつ向かい合って置かれていて、向こうの3つがHちゃんたちの担当、こちら側3つが私の所属する担当となっていました。聞いていた通り、Hちゃんのデスクと私のデスクは向かい合っていました。

それからその日はまだ初日だということで、私はTさんとCさんに、極めて簡単なお仕事をさせてもらいました。

途中で世話係のHさんが、私の胸につける名札と書類に押す印鑑を持ってきてくれて、私は本当にこの職場に雇われたことを実感しました。とは言え、どちらも以前いたらしい同じ苗字の人のお古でしたが。

しばらく見ていると、同僚のCさんはともかく、Tさんは少し神経質そうだったので、わからないことがあっても、あまり担当違いのHちゃんに聞くのは良くないなと、基本的にすごく察しの悪い私でも雰囲気で気がつきました。

後で知ったことですが、この頃のTさんは、私がこの職場で続けられるかどうか不安に感じていたので、正直、あまり仲良くしようとかは思っていなかったそうです。だから、それほど私に何かを教える気はないという感じで接していました。それはTさん個人がどうということだけはなく、その職場全体で、あまり長続きする人がいないということもありました。

一方、Cさんの方は私が何を訊いても笑顔で丁寧に教えてくれて、クーラーの効き過ぎで私が鼻をぐしゅぐしゅ鳴らすようになると、

「肩にかけるくらいのカーディガンがあると良いわよ。今日は私のカーディガンを貸してあげるから」

と、私が遠慮する間もなく、更衣室から自分のカーディガンを持ってきてくれました。ひどい汗っかきの私は、汚してしまうかも知れないと何度も言ったのですが、Cさんは「洗えば済むことよ」と笑っていました。

そんなやりとりさえ、その時の私にはものすごくうれしいことでした。

私は女性として、しかもOLさんとしてオフィスの中にいる。コネとは言え、せっかく雇ってもらえたんだもの、何とかがんばって少しでも長く続けて行きたいな。私は確かにそう思いました。

それからもその日は、パソコン画面の見方や、書類の名前とその整理の仕方、全体の作業の流れ、取り引き先の読みにくい会社名を教えてもらったり、たびたび連絡で来るオフィス以外の人を紹介されたりしました。

そして、その日の私は5時くらいで帰宅することになり、最後にHさんに、タイムカード代わりの出勤票の書き方を教わりました。

夕焼けの差し込む女子更衣室に入り、ロッカーを開ける。身支度を整えて、荷物を取り出す。同様に少し早めに仕事を終えた他部署の人に挨拶をしたり。

たぶんきっと、生まれつきの女性にとっては、本当に普通でなんでもないことなのでしょう。でも、MTFの私にとっては、とても憧れていたけど、一生叶わないだろうと思っていたことでした。まして、見た目の良くない私にはありえないことだと。

オフィスから建物の外に出るまでの道筋さえ、目に映る物全てが私には何もかも新鮮で、夢のようで、何だか家に帰るのを惜しく感じながら帰宅しました。

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GIDアーカイヴ。OLモドキ時代のこと。

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