GIDアーカイヴ。女性ホルモン投与のこと。

◇100倍の請求。 ◇

私がずっとホルモン投与をしてもらってる病院の先生(女医)は、するからにはきちんと私の健康に配慮してくれていました。

ですから、肝臓に負担のかかる経口薬を服用するよりは、病院に注射に通ってくることを当初から勧めてくれました。金銭的にも、「ある時払いでもいいから」とまで言ってくれたり、ホルモン投与以外の身体のこともずっと診てくれていました。

しかし、男性体に対する女性ホルモン投与の臨床記録なんてものはないですから、その注射だけの効果に不安を感じる私は、やはり一応、経口薬もずっと処方してもらっていました。

「これ、使ってみない?」

そんな先生がある日、私に見せた物は、まだその頃は一般的になっていなかった女性ホルモンのパッチ薬でした。それは対象臓器の近くとして腰辺りに貼ると、少しずつ皮膚から女性ホルモンが身体に浸透するというもので、概ね1枚/1日くらいで処方されるとのことでした。

先生は肝臓を通らないこともあり、そのパッチ薬の使用を勧めてくれました。もちろん、それまで通り注射、経口薬も続けてくれるとのことで。ですから、多少の好奇心もあった私は、先生の勧めに従うことにしました。

1日(24時間)1枚ですから、1週間で7枚。私は注射、経口薬に加えて、そのパッチ薬の処方を受け始めました。会計もほとんど増えていなかったことに、私も驚きと喜びを感じたものです。

しかし、しばらく続けてみると、注射と違ってパッチ薬と言う物は、なんていうか、「女性に近づいている」という実感を感じにくいことに、私は気がついてしまいました。

注射には「私は女性ホルモンを打った」という達成感みたいなものもあるし、実際、この感覚は人によるでしょうが、私の場合は注射の2日か3日後くらいに気持ちの良い脱力感があるのですが、パッチ薬はずっと貼っているだけの物なので、貼っていることすら忘れてしまうこともあるくらいなのです。

その上、単純に私はそのパッチ薬の接着剤(?)にかぶれてしまいました。その本来の対象臓器である子宮は私にはないわけですから、基本的には腰に貼る必要もなかったのですが、気分的にやはり腰のいろんな部分に貼りたくなるもので、しかし、一度かぶれてしまうと、私はもうどこに貼ってもかぶれてしまうようになりました。

ですから、次第に私はパッチ薬を貼るのが億劫になり、せっかく処方してもらったのに、いつしかたまってきてしまいました。

そんなことが続いてもう2、3ヶ月くらいは経った頃、私は病院に着くなり、受け付け(医療事務?)の人に話し掛けられました。

「えんじぇるさん、あのね、、、実はずっと請求金額を間違えていたらしいの」

彼女はとても申し訳なさそうな感じでした。

「はい?」

私はもしかして溯って請求されることになるのかと、びくびくしてしまいました。

しかし、彼女の話を聞いてみると、それどころの話ではなかったのです。一体どこの時点で、一体誰が間違えていたのか、私にはわかりませんが、パッチ薬の薬価がなんと100分の1でずっと計算されていたと言うのです。

「もちろん、もう今更えんじぇるさんに請求することはできないのですけど、これからパッチ薬の処方の方はどうします?」

彼女はそう続けました。

そう言えば、パッチ薬が増えたのに、会計はそれまでとほとんど変わらなかったなあと思った私でしたが、かぶれるようになったこともあり、以降のパッチ薬の処方はご遠慮しました。

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